(注:これは自作小説であり、現実とはあまり関係ないフィクションです。
いないとは思いますが、無断転載、自作発言等無きように)
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蒼き月夜
prologue
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―また普段と変わらない朝になった―
静かな部屋に柔らかい日差しが差し込み、よりいっそうその静かさを際立たせる。
時間はまだ6時半。学校に行くには些か早い時間だが…。
「さて、どうしたもんか。」
部屋を出、歩きながらつぶやいた。
朝食にはまだ早い上に、そもそも用意すらされていないはずだ。だからといって2度寝するのはいただけない。
迷っている間に気付けば道場の前まで来ていた。
「あれ、何で…」
こんなところに来たのかまるで分からない。半ば無意識にここまで来たのだから。
何か引っ掛かるものがあるのだが、簡単に思い出せるようなものでもない。
結局部屋に戻り、机の上に放り出してあった本をパラパラとめくることにした。
本の題名は『蒼き月夜』。多分親戚連中の誰かが俺の部屋に放置していったものだろう。俺が普段手を付けることのない、恋愛小説系の本。
その割にしっかり読み耽ってしまい、母さんが朝食の完成を知らせに部屋までやってきた。
時間は7時半になっていて、あまりのんびりと朝食を摂っているわけにもいかなかったから、
コーンスープだけ飲んで、苺のジャムがのった食パンは学校に向かいながら食べることにした…。
学校に着くと、グラウンドでは野球部とサッカー部が朝練をしているのが見えた。そこそこの強豪校だからか練習にもみんなかなり熱が入っている。
久しぶりにこの光景を見た気がする。
突然妙に懐かしい気持ちが湧いてきて、首を傾げた。
「寝不足かな。まだ頭がしっかり回ってないらしい。」
軽く深呼吸をして、1年の教室がある4階を目指す。
この時間登校する生徒は多く、至るところからおはよう、という声が聞こえる。
「よう!今日は少し遅いんじゃないか?舜夜」
突然後ろから背中をバンバンと叩かれた。
「痛ぇよ涼嘉!殴んなくてもいいだろうが。」
りょうか、と呼ばれた男子生徒は何食わぬ顔をして話を続けた。
「いや、お前の歩き方に元気さの欠けらも感じなかったからな。一種の気付け薬と思って有り難く頂戴しろ。ところでだな…」
突然ズイと顔を寄せてくる涼嘉。
「何だよ突然。気持ち悪い。」
「あの子は。」
かなり真剣な顔で切り出してきた台詞に一瞬戸惑ってしまう。
「だからあの子は。いつもの子は一緒じゃないのか?」
「いつもの子…って鹿波のことか?あいつになら今日は置いてかれた。そもそも一緒に行く約束なんかしてないよ。」
「わ・た・し・が・どうかしたの?」
突然俺たちに話し掛けてくる女の声。聞き慣れたというより聞き飽きるほどに耳にした声。
「よ、鹿波。今朝は早いじゃないか。」
いつも通りに手を挙げて挨拶をしたのだが、なぜか奏は不機嫌そうな顔をしている。
「私はいつもどおりの時間に来た。アンタが今日は遅かったんでしょうが、まったく…朝っぱらから惚けてるなよ馬鹿。」
「む、馬鹿って何だよ。俺はお前ほど馬鹿じゃない。」
ついムッと来て言い返したのだが、今度は打って変わって落ち着いた顔をしていた。
「何だ、いつも通りじゃないのアンタ。うん、これなら安心安心。」
ウンウン、と満面の笑みを浮かべて勝手に納得している。
ヨシ、と突然こっちに顔を向けてきた。
「ま、もう少しかかると思ってたんだけど。意外とニブチンなのかしらね、あなた。
とりあえず、今日の放課後の約束を守ること。」
「なに…」
何を言っているのか分からず問いただそうとしたのだが、既に軽い足取りで教室に向かってしまった。
「約束…?」
ついと考えてみてもまったく覚えが無い。あいつがああ言うならしたんだろうけど、さっぱり思い浮かばない。
それどころか、最近奏とどんな話をしたかすら何も覚えていない。
「ボケたな。」
そんな冗談を自分に聞かせながら、教室へ向かうことにした。
ふと、頭を過る。
いったい自分は
何を感じ
何を想い
今を生きるのか。
何を無くし
何を忘れ
それでも懸命に生きようとしているのか。
きっと━━━それが俺があいつとした約束。
「…よし!」
ようやく思い出せたことを胸に、またいつもと変わらぬはずの一日を過ごすとしよう━━━
蒼き月夜
prologue━終
あとがき〜〜〜
え〜…ただのプロローグです。
期待してると損するぜ!
まぁこんなところでネタバレするつもりもないし、ただ一つ言いたいのは
完結する気がしません(爆)
いや、ラストまで考えたよ?
でもしくりそう…。
それでは、これを見た人は責任持って続きも読むべし!
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