或る結末

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誰かを守りたいという願いは

悪が在って欲しいという願いと相違ない

セイギノミカタに正義など宿らない

そも

正義などというものの存在が曖昧で脆弱

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さて、かつてある一人の男がいた。

彼は亡き養父の後を継ぎ、「セイギノミカタ」になる決意をした。

実際彼は他人のためだけを考えて生き、彼の信じる

「他人を救う」道を進んで行こうとした。

 

しかし、世界は彼一人で救えるほど狭くはなかった。

全てを救うと決意した彼の前に広がっていたのは、救えなかった人々の憎しみ。

それは彼の「ユメ」を苛み、純粋で一途であった想いに穢れを注いでいった。

 

そして、その願いが消え果てる時、彼は自身の本質を悟った。

 

―――体は剣で出来ている―――

すなわち、それは救いには繋がらない

―――血潮は鉄で 心は硝子―――

人として異常な道を歩み、想いの脆さを知る

 

人を助けるために人を殺す。

その矛盾が彼を犯し、侵す。

 

 

ある日彼は、命をかけてまで救った人達の手により、その生涯を終えることになる。

人として在りえざるその身に人々は恐怖し、手にした武器を振り下ろした。

 

命を閉じる間際、彼の目に浮かんだのは、かつて愛した女性の笑顔。

彼女と同じ道を歩んでいたことを知り、自分が情けなく感じた。

そして、灯が消える時、彼は世界と契約を結ぶ。まだ、自分にはやることがある。

 

―――世界の名の下に契約を結ぶ。

人類の守護者として、我が魂をそなたに捧げよう―――

 

そして彼は、守護者の名の下に人を裁く屍とその身を堕した。

 

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